20世紀初頭、一部のメーカーが腕時計生産を開始しましたが、男性が携帯する時計は腕時計ではなく懐中時計が主流で、腕時計は正式な存在とは見なされていませんでした。
紳士用腕時計として最初に大きな成功を収めたのはフランスの宝飾品店カルティエ社が開発した角形ケースの「サントス」で、1911年のことでした。
元々この腕時計はブラジルの大富豪で航空界の先駆者であったアルベルト・サントス・デュモン(Alberto Santos-Dumont 1873 - 1932)のために作られたものでした。サントス・デュモンは飛行船の操縦中、大きな動作を取らずに時間を確認出来るよう、ルイ・カルティエに依頼して腕時計を制作させたのです。軍用の腕時計とは違い、洗練された形態はパリの社交界で話題となり、ついには市販されるようになりました。「サントス」はスポーツ・ウォッチの古典となり、21世紀に入った現在でもカルティエの代表的な製品として市販されています。
第一次世界大戦は腕時計の普及を促す契機となり、戦後には多くの懐中時計メーカーが腕時計の分野へ転身していきました。この結果、男性の携帯する時計は懐中時計から腕時計へと完全に移行していきました。
第二次世界大戦以前からの主要な腕時計生産国としては、懐中時計の時代から大量生産技術が進展したアメリカ合衆国のほか、古くから時計産業が発達したスイス、イギリスなどがあげられます。後にイギリスのメーカーは市場から脱落していきました。アメリカのメーカーも1960年代以降に高級品メーカーが衰亡してブランド名のみの切り売りを行う事態となり、正確な意味で存続するメーカーは大衆向けブランドのタイメックスのみとなっています。
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